顧客中心のプロダクト戦略とは?ニーズを見極め、市場をリードする
R-STPプロセスでターゲット顧客を定めた後、次はプロダクト戦略で具体的に「何を売るのか」を決める段階に入ります。
ここでの重要な考え方は、顧客は単に製品そのものを求めているわけではなく、製品が提供する利益や解決策、つまり「ベネフィット」を求めているということです。
例えば、パソコンメーカーならどのような機能や特性を持つパソコンを開発するか、レストランならどのような料理をメニューに加えるかを考える必要があります。
しかし、単に製品を考えるのではなく、顧客がその製品から何を得たいのか、どのような価値を求めているのかを深く理解することが重要です。
顧客が実際に求めているのは、製品やサービスを通じて得られる結果や体験です。
セオドア・レビット教授の言葉で言えば、「ドリルを買いに来た人が本当に欲しいのはドリルではなく穴」です。
つまり、顧客が製品を通じて達成したいこと、解決したい問題、得たい感覚が何かを理解することが、プロダクト戦略の鍵を握ります。
顧客のニーズを理解するには主に2つのアプローチがあります。
「マーケットイン」アプローチでは、顧客の現在の要求や欲求を徹底的に調査・分析し、その情報に基づいて製品やサービスを開発します。
これは顧客の顕在的なニーズを捉え、それに応える製品を作る方法です。
企業はアンケート調査、インタビュー、市場調査などを通じて、顧客の望むものを具体化し、それに対応する製品やサービスを提供します。
一方、「プロダクトアウト」アプローチでは、顧客の現在の意見やニーズに頼らず、企業の技術力やイノベーションを活用して新しいニーズを創造します。
これは、市場にまだ存在しない新しい製品やサービスを開発し、顧客に新たな価値を提供する方法です。
このアプローチでは、顧客がまだ認識していない潜在的なニーズに対応し、市場に新たなトレンドを生み出す可能性があります。
プロダクト戦略をワニ社長がわかりやすく解説
リエさん、ターゲット顧客が決まったら、次は『何を売るか』、つまりプロダクト戦略だよ。大切なのは、顧客が本当に欲しいのは製品そのものじゃなくて、その製品から得られるメリットだってこと。
つまり、製品が顧客にどんな良いことをもたらすかを考えるんですね?
正解!例えばドリルを買う人は、ドリルが欲しいわけじゃなくて、穴を開けたいんだ。私たちが売るのは、ただの製品じゃなくて、顧客が実現したい結果や体験なんだよ。
それを見極める方法はありますか?
2つの方法があるよ。『マーケットイン』では、顧客が何を欲しているか調べて、それに合った製品を作る。一方『プロダクトアウト』では、顧客の意見に頼らず、私たちの技術で新しいニーズを作り出すんだ。
どちらの方法を選ぶかは、企業の状況によるんですね。
そうだよ、リエさん。私たちの強みと市場のニーズを考えて、最適な戦略を選ぶんだ。
顧客価値の階層とは?プロダクト戦略における5つのレベルとその実践
プロダクト戦略を立てる際に、顧客が製品に求める価値のレベルを理解することは重要です。
コトラー教授による「5つの顧客価値レベル」は、製品が提供すべき価値の範囲を示しており、企業がどの程度のニーズに対応すべきかを判断するのに役立ちます。
①中核ベネフィット
中核ベネフィットは、製品が顧客に提供する基本的な価値や機能です。
例えば、レストランならば、お腹を満たすことが中核ベネフィットになります。
これは製品やサービスが最低限満たすべき顧客の基本的な要求です。
②基本製品
基本製品は、製品が持つ基礎的な特性や機能を指します。
これは顧客が製品から期待する基本的な条件を満たすもので、例えばレストランならば質の良い食事を提供することが該当します。
③期待製品
期待製品レベルでは、顧客が一般的に製品に期待する属性や条件が含まれます。
顧客の明確な期待に応えることが重要で、レストランであれば、顧客の好みや食事に対する期待に合ったサービスやメニューを提供することが必要です。
④膨張製品
膨張製品は、顧客の期待を超えて提供する価値です。
これは、顧客に驚きや感動を与える要素を含み、レストランならば、卓越した料理、優れたサービス、快適な雰囲気など、期待以上の体験を提供することを意味します。
⑤潜在製品
潜在製品は、将来のニーズに対応するための潜在的な価値や可能性を持つ製品のレベルです。
これは顧客がまだ完全には認識していないニーズを満たすことを目指し、革新的な製品やサービスを通じて長期的な顧客満足を実現することを意味します。
これらのレベルを通じて企業は製品の価値提案を段階的に強化し、顧客のニーズに深く対応していきます。
しかし、高いレベルの価値を提供することは、それだけ多くのコストを必要とする場合があります。
したがって、製品やサービスの価値レベルを決定する際には、ターゲット市場のニーズ、競争環境、コスト構造、価格設定戦略など、多くの要因を考慮に入れる必要があります。
加えて、トータルソリューションという考え方があります。
これは単一の製品やサービスだけでなく、顧客の問題を全面的に解決するために複数の製品やサービスを組み合わせるアプローチです。
例えば、スターバックスは単にコーヒーを提供するだけではなく、快適な空間や良質なサービスを組み合わせることで、顧客に総合的な体験を提供しています。
製品の価値レベルをワニ社長がわかりやすく解説
リエさん、製品を作る時、顧客が何を本当に求めているかを考える必要があるんだ。それを理解するためには、製品の価値レベルを知ることが大事。
価値レベルって、具体的にはどういうことですか?
まずは『中核ベネフィット』からだよ。これは製品の基本的な利点、例えばレストランならお腹を満たすことがそれにあたる。
なるほど、その次は何ですか?
『基本製品』だね。これは製品が持つ基本的な特徴や機能、レストランでいうと美味しい料理を提供することがこれに当たるよ。
それで、顧客の期待はどう満たすんですか?
それが『期待製品』レベル。顧客が製品に対して持っている具体的な期待に応える必要があるんだ。レストランなら、顧客の好みに合わせた料理を提供することが重要になる。
期待以上のものを提供するのはどうすればいいんですか?
それが『膨張製品』レベルだよ。ただ期待に応えるだけじゃなく、顧客を驚かせる何か、例えば素晴らしいサービスや特別な雰囲気を提供するんだ。
最高レベルはどんな製品ですか?
『潜在製品』がそれだよ。これは将来的にも顧客の期待を超え続ける製品を作ることを目指すレベル。つまり、常に新鮮な驚きを提供し続けるんだ。
それを全て実現するにはどうすればいいんですか?
トータルソリューションの考え方を取り入れるんだ。製品だけでなく、サービスや体験を組み合わせて顧客に全面的な満足を提供することが大切だよ。
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