色彩の心理と表現とは?「デビッド・カッツ」の色彩心理学とフォンタナの空間主義アート

デビッド・カッツ

デビッド・カッツの色の心理学では、物体の「表面色」と透明物体を通した「空間色」が色の知覚の主要なカテゴリとされます。

対照的に、面色は物質的な特性や形態を持たず、例えば青空のような空間そのものに存在する色です。

ルーチョ・フォンタナの絵画は、カンバスに単一の色を塗り、それにナイフで切れ目を加えることで、面色の概念を探求し、色彩と空間の関係を新たな視点から提示します。

美術の先生
美術の先生

この記事では、「色彩の心理と表現とは?カッツの色彩心理学とフォンタナの空間主義アート」についてわかりやすく解説するよ。

生徒
生徒

先生、よろしくお願いします♪

デビッド・カッツとは

デビッド・カッツはドイツの著名な心理学者で、カッセルで生まれ、ゲッティンゲン大学で心理学者ミュラーのもとで学び、助手を務めました。

デビッド・カッツはロシュトック大学とマインツ大学で教授職を歴任しましたが、1933年のナチス政権確立に伴い英国へ亡命。その後、マンチェスター大学、ロンドン大学を経て、1937年からはストックホルム大学の教授となりました。

デビッド・カッツは特に、色の知覚に関する研究で知られています。カッツの著作「色の現れ方」では、色が物理的な表面や空間にどのように現れるかを独自の視点で捉え、表面色、空間色、面色という三つのカテゴリーに分類しました。

これらの概念は、色の知覚に対する私たちの理解を深めるだけでなく、美術、デザイン、心理学など多岐にわたる分野での応用をもたらしました。

美術の先生
美術の先生

カッツはゲシュタルト心理学にも深い理解を示し、触覚に関する研究も行っているんだよ。

生徒
生徒

カッツの著書「触世界の構造」や「ゲシュタルト心理学」は、当時の心理学研究において重要な業績として評価されていますもんね♪

デビッド・カッツの色の心理学における表面色と空間色の概念

デビッド・カッツの色の心理学における表面色と空間色の概念は、色が物理的な表面や空間にどのように現れるかを解明するものです。

カッツは色を、それがどのように知覚されるかに基づいて分類しました。その中でも特に重要なのが「表面色」と「空間色」です。

表面色は文字通り物体の表面に見られる色で、私たちが日常的に最も直接的に認識している色です。

たとえば、赤いリンゴ、黄色いバナナ、青い空など、これらの色はそれぞれの物体の表面にある色として捉えられます。

カッツによると、表面色は光が物体の表面に当たって反射することによって生じ、この反射された光が私たちの目に入って色として認識されます。

一方で、空間色は透明や半透明の物体を通して見る色です。

たとえば、カップに入った紅茶や、窓ガラスを通して見える景色などがこれにあたります。空間色は、光が物体を通過する際にその物体の内部で散乱されたり吸収されたりすることで生じます。

この過程で、色が空間的な深みを持って知覚されるため、空間色は表面色とは異なる独特の品質を持ちます。

カッツの分類は、色がただ単に物体の属性であるだけでなく、観察者の視点、光の条件、物体の物質的な特性など、多くの要因によって異なる方法で現れることを示しています。

これにより、カッツは色の知覚が単純な現象ではなく、複雑で豊かな経験であることを明らかにしました。

「面色」とは?物質を超えた色彩の抽象世界

面色は、物質的な特性や形態を伴わない色の存在感です。これは、物体から離れた色の概念であり、空間そのものが持つ色として理解されます。

面色は視覚によって知覚されるものの、通常の物体の色とは異なり、実際には物理的な対象として存在しないため、その特性を捉えることは一般的な色の理解よりも抽象的です。

面色の例として、広がりを見せる青空があります。この青は、空間全体に満ちている色であり、特定の物体に属する色ではありません。

青空は物体としての質感や形態を持たず、ただ私たちの視野を埋める色の広がりとして存在します。

面色はこのように、物体の表面から反射する光による表面色や、透明物体を通して見る色である空間色とは根本的に異なります。

面色は、物体としての特性や形態から完全に切り離された色の現れ方であり、物質的な存在とは無関係に私たちの視覚に訴える色です。

美術の先生
美術の先生

視覚的には存在感があるものの、触れることはできず、また物体の影響を受けることもないんだよ。

生徒
生徒

だから、面色は色の中でも特に抽象的で、純粋な色彩体験を提供する概念と言えるんですね♪

ルーチョ・フォンタナの絵画における面色と表面色

ルーチョ・フォンタナ

ルーチョ・フォンタナ 画像出典:wiki

ルーチョ・フォンタナの作品は、画面の色彩と空間の概念を結びつけることで、面色という抽象的な概念を具体的な形で表現しています。

ルーチョ・フォンタナの作品は一見シンプルですが、その中には深い意味が込められています。

フォンタナは、画面一面に単一の色を均一に塗り、カンバスにナイフで切れ目を入れることで、絵画の伝統的な概念に挑戦しました。

フォンタナの絵画では、カンバスに塗られた単一の色が面色を表しています。この色は、物質的な形態や質感を伴わない、空間そのものの色として捉えられます。

その広がりは、物体の表面や透明物体を通して見る色である表面色や空間色とは異なり、物質から完全に独立した色彩の現れ方をします。

このようにして、フォンタナの絵画は、色彩が空間に満ちる様子を捉えた、面色の具象的な表現となります。

しかし、フォンタナの作品における面色は、単なる色の現れ方の表現にとどまりません。カンバスに施された切れ目は、絵画の空間を物理的に割り込むことで、見る者を絵画の現実に引き戻します。

この切れ目は、単一色で満たされた茫洋とした空間に対する、突然の現実の介入とも言えます。この介入により、カンバスの存在が認識され、塗られた色は再び表面色としての特性を帯びます。

絵具の質感やカンバスの布の感触など、物質的な特性がリアルに感じられるようになります。

このようにフォンタナの絵画は、面色と表面色の間の独特な張り合いを持っています。フォンタナの作品は、色彩の広がりとしての面色から、カンバスの物質性としての表面色へと、見る者の感覚を行き来させます。

美術の先生
美術の先生

この揺らぎこそが、フォンタナの絵画の魅力の一つであり、彼の作品が単なる色彩の展示以上のものである理由だね。

生徒
生徒

フォンタナの絵画は、面色の概念を通じて美の世界への入り口を提示し、色彩と空間の関係性に対する新たな理解を促すんですね♪

まとめ

まとめ

デビッド・カッツの色の心理学ルーチョ・フォンタナの絵画
表面色:物体の表面に見られる色。光が物体の表面に当たって反射することによって生じ、私たちの目に入って色として認識される。面色の具象的な表現:カンバスに単一の色を塗り、ナイフで切れ目を入れることで、面色の概念を表現。色彩が空間に満ちる様子を具体的に捉える。
空間色:透明や半透明の物体を通して見る色。光が物体の内部で散乱されたり吸収されたりすることで生じる。空間的な深みを持って知覚される。面色と表面色の対比:カンバスに施された切れ目によって、面色から物質的な表面色への移行が生じる。見る者の感覚を面色の広がりと表面色の物質性との間で行き来させる。
面色:物質的な特性や形態を伴わない色の存在感。物体から離れた色の概念で、空間そのものが持つ色として理解される。青空などが例。芸術と現実の独特な張り合い:フォンタナの作品は、色彩と空間の関係性を新たに理解させ、美の世界への入り口を提示する。作品は単なる色彩の展示以上のものとして、視覚芸術の新たな領域を開拓する。

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